早くここを去りたい。思い出を全て焼き捨て立ち去りたい。今の自分を殺したい。そして新たな地で二度目の人生を歩みたい。ああ、皆の記憶から自分が抹殺されればいいのに。僕などいなかったことにしてほしい。存在しなかったことにしてほしい。僕はここで自分の思うように生きることができなかった。皆の記憶に残された自分はそんな偽りの自分でしかない。僕はまだひとを信じることができない。心を開くすべを知らない。自分という存在が皆の手のひらから脆く零れ落ちてゆくのがわかる。
君は人生は愛だと言ったな。愛だと?愛と呼べるものを君は誰かと共有したとでもいうのか?全て偽りさ。その証拠に君の心には愛の欠片さえ残されていないじゃないか。そんな脆く崩れ去るものが愛と言えるのかい?その愛とやらも今はただの憎しみじゃないか。君は憎むのが好きなんだろう。そうさ、憎めばいい。好きなだけ憎めばいい。お前の人生は憎しみなのだ。
・・・存在。希薄な存在。存在してもしなくても世界は表情ひとつ変えはしないのだ。消えたい。。。独りぼっちの自分だけがここにいる。