早くここを去りたい。思い出を全て焼き捨て立ち去りたい。今の自分を殺したい。そして新たな地で二度目の人生を歩みたい。ああ、皆の記憶から自分が抹殺されればいいのに。僕などいなかったことにしてほしい。存在しなかったことにしてほしい。僕はここで自分の思うように生きることができなかった。皆の記憶に残された自分はそんな偽りの自分でしかない。僕はまだひとを信じることができない。心を開くすべを知らない。自分という存在が皆の手のひらから脆く零れ落ちてゆくのがわかる。
君は人生は愛だと言ったな。愛だと?愛と呼べるものを君は誰かと共有したとでもいうのか?全て偽りさ。その証拠に君の心には愛の欠片さえ残されていないじゃないか。そんな脆く崩れ去るものが愛と言えるのかい?その愛とやらも今はただの憎しみじゃないか。君は憎むのが好きなんだろう。そうさ、憎めばいい。好きなだけ憎めばいい。お前の人生は憎しみなのだ。
・・・存在。希薄な存在。存在してもしなくても世界は表情ひとつ変えはしないのだ。消えたい。。。独りぼっちの自分だけがここにいる。

Sigur Ros『( )』

アイスランドのポストロックバンドによる2nd。賛美歌のような美しさを湛えたアンビエント、スロウコア的美意識、最後は雪崩落ちるような轟音で逝けます!天使が舞い降りてきそうな、前向きに天に召されたくなる音楽。リストカットする時のBGMに使っていましたが何か。。。
僕が死んだら葬式のBGMはこれでお願いします。

三島由紀夫『潮騒』

初めて三島由紀夫を読みました。確かに美しく、焚き火の前で肌を触れ合うところの描写など官能的かつ純粋で良かったのですが、表面的と言いますかどうも最後まで感情移入ができませんでした。主人公の性質が自分と正反対なのもその理由だと思います。『忍ぶ川』と比べちゃうんですけど、そっちのほうが全然いいなあ。この作品は三島作品の中で異色作らしいので他の作品も読んでみたいとは思いますが・・・どれがいいのかな。

最近、本を読みまくっている。他にやりたいことがないし、現実見てもあくびが出るだけだし。本の中にこそ美と理想があるのです。で、今月はドストエフスキーに挑戦してみようと思います。今まであの本の厚さに尻込みしていたのですが。まずは『悪霊』からだな。
ちなみに今まで読んだ中で好きなもの
カミュ『異邦人』・・・最も衝撃を受けた本。人生のバイブル。
高野悦子二十歳の原点』・・・これも衝撃。同じくバイブル。
武者小路実篤『愛と死』・・・心綻ぶ清楚な恋愛。
中河与一『天の夕顔』・・・神の領域ともいえる恋愛。
テネシー・ウィリアムズガラスの動物園』・・・弱き者への賛美歌。
辻仁成『海峡の光』・・・人生の暗流。詩的な美学。
三浦哲郎忍ぶ川』・・・静謐で素朴な恋愛。
なんかいい本ないですかねー。

SND『tender love』

今は亡き最重要電子音響レーベルMille Plateauxからの作品。クリック・ハウスの最良の形。使われる音は最小限、もう少し音を加えれば踊れるところを飽くまでミニマルにストイックに。無機質かと思いきや温もりのある音で、しばし聴き入ってしまいます。

中河与一『天の夕顔』

美しくストイックな恋愛を描いた、ゲーテの『ウェルテル』に比較される浪漫主義文学の名作。これ『ウェルテル』より好きです。とくに僕みたいな愛に絶望した人間にとっては救いになります。心の深い結びつきだけで崇高なまでのお互いの愛情を貫き通すその姿。恋愛のために一生を棒に振った男の「本当にあの人だけは愛しつづけました」というその言葉。凡百の成就した恋なんかよりもずっと理想的な恋愛だと思います。僕はいやですけどね。