高野悦子『二十歳の原点』

学園紛争の時代、独りであること、未熟であることを原点に青春を駆け抜けていった一女子大生の手記。愛に破れ、孤独に打ちひしがれ、その繊細さゆえに二十歳の若さで鉄道自殺を遂げることとなる。これはその死の直前までの日記である。だんだんと心を砕かれ、人間を信じられなくなってしまうその姿が痛々しい。それでも最後まで絶えることのなかった純粋さと詩精神が心を打つ。僕にとって心の書物。