カミュ『異邦人』

この本を読むのはこれで三度目。初めて読んだときの衝撃はないにせよ、やはり素晴らしい。あらすじだけ読むと悲劇的な作品に思えるのだが、実際読んでみると実に爽快な本である。人間は誰しも死刑を宣告された主人公ムルソーである、生きることは悲劇なのだ。多くの人々はこれに目を背けて生きている。真理を生きる人間はこのことに真っ向から対峙し、それでも人生を愛する。「人生への絶望なくして人生への愛はない」のである。